社会資本整備重点計画の素案に対する意見の募集について(国土交通省サイト)

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2003年8月18日

国土交通省総合政策局政策課 パブリックコメント担当殿

 

社会資本整備重点計画の素案に対する意見

 

清水真哉

 

第1章(2)
【意見1】「公共用地のより円滑な取得のための土地収用法の積極的な活用」の箇所を削除すること。
【理由】圏央道建設事業で見られるように、自然破壊となるだけの不要な公共事業のために、土地収用法という個人の財産権を侵害する強権的な手段が乱用されているのは許されざることであり、それを更に進めようとする方針は許容されるべきではないから。

第2章
活力〜国際競争力の強化、都市再生、地域連携や観光振興等を通じた、魅力と活力にあふれる経済社会の形成
【意見2】「国際競争力の強化」の文言を削除すること。
【理由】「国際競争力の強化」という平成の富国策のために、人間らしい暮らしが侵されるべきでないから。

活力〜(2)(3)
【意見3】高規格幹線道路・地域高規格道路、高速自動車国道、バイパス、環状道路の整備は今後行わないこと。
【理由】それはモータリゼーションを推し進め、公共交通機関とりわけ鉄路を衰退させ、環境の悪化を招来するから。

第3章
<道路整備事業> 2.事業の概要 (1)活力
【意見4】「道路渋滞を削減」する手段として「道路整備の推進」を採ることをせず、道路交通量の削減を数値目標を掲げて進めること。
【理由】新たな道路整備は自動車交通量の増大をもたらし、地球環境の悪化を招くのみであり、渋滞解消には自動車走行量を削減する以外にないから。

【意見5】三大都市圏環状道路は全面的に中止すること。
【理由】三大都市圏環状道路の建設は、建設される地域の町の破壊を引き起こし、都市再生という目的とは相反する結果をもたらすから。

(3)安全
【意見6】豪雪地域における除雪された歩道の確保を明記すること。
【理由】豪雪地域においては車道を除雪した雪が歩道に積まれて歩行不能となり、止む無く車道を歩いた登下校中の児童が車に撥ねられるというあるまじき悲劇が後を断たない。この問題の解決のため十分な対策を立てる必要がある。

(4)環境
【意見7】「地球環境を保全」する手段としての「幹線道路ネットワークの整備」を削除し、道路交通量の削減を数値目標を掲げて進めること。
【理由】道路整備は必然的に自動車走行量の増大をもたらすものであり、地球環境を保全するためには自動車の走行台数を減らす以外にないから。

【意見8】夜間騒音要請限度達成率は100%を目指し、達成できていない道路では自動車の走行を制限すること。
【理由】夜間騒音要請限度は絶対的に、無条件に守られなくてはならないものであるから。

<交通安全施設等整備事業>
2.事業の概要 (1)歩行者等の安全通行の確保 A歩行空間のバリアフリー化の推進
【意見9】歩行空間のバリアフリー化の推進の項目に、歩道橋と道路横断地下道を順次廃止して、横断歩道のない交差点を無くすという目標を明記すること。
【理由】道路のバリアフリー化において最大の問題は、中心市街地において自動車通行の円滑化を過度に優先したあまり、横断歩道がなく歩道橋や道路横断地下道を通行しなくてはならないという、歩行者や自転車通行者に不当な負担を強いる事例が日本各地に見られることである。「歩行空間のバリアフリー化の推進」を掲げるからにはこうした状況の改善が最優先されるべきである。

B安全・快適な歩行者通行及び自転車利用環境の整備
【意見10】「歩道、自転車道等の通行空間と自転車駐車場の整備を推進」とあるが、自動車走行量と走行速度の抑制により自転車の安全確保を図ること。
【理由】既存の都市空間において自転車の走行空間を確保するためには自動車の車線削減や大幅な減速などが不可欠であるのに、現在はその認識が欠如しているため、いっこうに自転車の走行空間の確保が進んでいかないから。

<空港整備事業>
【意見11】国際航空、国内航空ともサービス提供量を増大させることが目的とされているが、とりわけ国際航空においては過大な目標値が設定されている。国際航空については増加率を一割以内に抑え、国内航空についてはマイナスの目標値を設定し、航空需要を自由競争の状態で増大させるのではなく、鉄道や船舶に振り向けるモーダルシフトを推進すること。
【理由】航空機は鉄道や船舶と比較して輸送量あたりの二酸化炭素排出量が多く、また汚染物質を高度上空で排出するため気候に与える影響も大きいので、航空機の利用は代替交通手段が見出しえない場合に制限すべきである。

【意見12】国内における空港の新設、滑走路の増設、滑走路の延長は今後一切行わないこと。現在行われている工事についても中止を検討すること。
【理由】航空需要を今後とも増大させるという目標が誤っている以上、空港容量の増大はすべからく不要である。鉄道高速化整備が進んだ区間においては航空便を順次廃止し、国際便の新規需要には、それにより空いた容量によって対応すれば十分である。

以上


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