プルサーマル公開討論会

 五月七日、東京両国の江戸東京博物館で、電力会社各社のプルサーマル計画(プルトニウムを通常の原子炉で燃焼させる計画)についての原発反対派対行政の公開討論会が、「プルサーマル公開討論会を実現する会」に結集した市民の主催によって開催された。
 市民側パネリストは、原子力資料情報室の澤井正子氏、福島原発・市民事故調査委員会の山崎久隆氏、作家の広瀬隆氏、脱原発福島ネットワークの佐藤和良氏の四名、行政側のパネリストは、通産省資源エネルギー庁原子力産業課と科学技術庁原子力局核燃料課の課長補佐クラスが計三名、更に数名の課員が後ろに控えていた。
 市民側から出された論点は、「武装しなければ海上輸送できないような核燃料を使う必要があるのか」「もんじゅ事故以後のプルトニウム需給見通しはプルサーマル実施によってどうなるのか」「放射性廃棄物はどうするのか」「プルサーマル実施の国民合意形成」の四点に絞られて、あらかじめ行政側に提出されていた。焦点はもちろん行政側がどう解答するかであったが、予想通りというべきか、核燃料サイクルという幻想にしがみつき続ける、これまで散々聞かされた見解に終始した。
 途中、会場から出た「日本で脱原発政策を採る政権が出来たらどうするか」という質問に対して役人達は、「我々は下僕ですから」と答えた。当然の解答であるが、このやり取りは、官僚を相手に行う討論の限界をも浮き彫りにした。この日の討論会が反原発運動にとって大きな収穫であったことは疑いないが、やはり運動は、プルトニウム利用計画を進める政権政党、自由民主党の政治家を討論の場に引きずり出さなくては、本当の議論を始められないであろう。

1999年執筆ACT紙掲載


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