私の住む習志野市でも今年度から下水道料金が値上げされることになった。
2004/5/24


合併処理浄化槽は安価に速やかに導入でき、環境への無駄な負担のない秀れたものであるが、その導入が進まず、公共下水道に傾いてしまうのには、制度上の仕掛けがある。
合併処理浄化槽は設置費用が個人負担で、一世帯あたり百数十万円かかる。それに対し公共下水道は対象地域の住民が一定期間内に接続する義務がある。
このような制度を改め、公共下水道建設の予算を大幅に削減し、合併処理浄化槽の導入に十分な補助金を出すようにするべきである。
2004/5/14


道路公団改革が進んでいるが、無駄な公共事業潰し、次のターゲットとなるべきは流域下水道事業である。
流域下水道とは地方公共団体単位で行われる公共下水道事業を同じ河川の流域ごとにまとめて、規模のメリットを追求したものである。
だが下水処理とは未だに、汚物を微生物に食わせて浄化するという、何とも天然なローテクの世界であって、規模のメリットというものは成立しえない。
流域下水道は地下に下水道を掘り、それで汚水を集めて下水処理場でまとめて処理するというものである。使用済み水の発生したその場で浄化処理し近くの川に流すのと比べて、いわば地下に土管でできた川を通すということになる。当然のことながら地表に流れる川の水位は低下し、生態系に悪い影響を及ぼす。無駄なコストが掛かることは言うに及ばず。
よく自治体などがどこどこの下水道普及率は何パーセントなどと驚くほど低い数字を挙げて、あたかもそこに住む人々が原始的な水処理による不衛生な暮らしをしているかの如く宣伝に努めているが、これがとんだペテンなのである。
つい二年程前、私が住む分譲団地が公共下水道に接続された。それによって恐らく私の住む自治体の下水道普及率は上がったのであろう。
だがそれまでも団地は自前の浄水場により水を処理し、近くの川に水を戻していたのである。下水道普及率とは国家による水処理事業の独占率以外の何も表しておらず、私にとっては下水道料金の上昇のみをもたらした。浄水場の跡地は緑地にすればよかったのに、忌々しい駐車場となっている。
同様の事態は埼玉県にある実家でも起きた。実家があるのは戸建てが並ぶ最早三十年も前の新興住宅開発地で、やはりそこも独自の浄水場を持っていたが、流域下水道に接続されてしまった。
下水道事業は一見クリーンなイメージがあり、地下に建設されるため反対運動の蓄積もなく、行政の思うがままに建設が進められてきた。その結果、今や公共事業の中で下水道事業には道路建設に次ぐ予算が費やされている。
下水はできる限り排出されたその場で処理し、直ぐに自然の水循環に戻すのがよい。
個別に下水処理施設を設置する余裕のない住宅密集地では、地下の土管で汚水を一箇所に集め、まとめて処理するといったことも止むを得ないが、ぎりぎり必要な範囲に止(とど)めるべきである。
このような無駄が行われる背景には、述べるまでもない周知の利権構造があるわけだが、道路投資が減りつつある今、建設業にとっては最後の砦(とりで)、いや地下要塞なのかも知れない。
2003/08/09

ところで流域下水道に接続させられた経験を持つ人なら皆知っていることだが、下水道料金が大幅に上昇するのである。
これは愚かな国民が政官業の癒着構造に対して支払わされる上納金である。
2003/08/17

財政状況の厳しい川崎市が、一般財政から下水道事業への補助をもはや続けられなくなったため、下水道料金を大幅に値上げするとのことである。
川崎市民はこれから、行政がこれまで何をしてきたのか痛いように思い知らされるという訳である。
同様の事態は今後、日本各地で見られることであろう。
2003/12/29


清水真哉の環境問題

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