楽器


2003/05/02
浜松市楽器博物館に行ってきました。期待を裏切らない充実した内容でした。
楽器博物館としては以前ベルリンでも行ったことがあります。その時と今とでは関心の持ち方が違うので比較は難しいのですが、アジア、アフリカの楽器に関しては浜松の方が充実していると思います。

サンザ(別名イリンバ、ムビラ)というアフリカの楽器がなぜか気に入りました。
「自動車のシートやベッドのバネから作った、薄いヘラ状の金属片を、親指ではじいて音を出します。」
金属片は木製の箱に固定されていて、箱が反響します。
近代の楽器の進化の方向は、より多くの人に聞かせるために音量の増大を求めてきたのに、この楽器の音は小さく、まずは自分のために弾くらしいのです。まるで子供がゲームボーイをしているみたいです。


小中学校で学習する楽器は、一般の音楽界からすると周辺的なものが選ばれている。
西洋ルネサンス期の楽器であるリコーダー、北米のカントリーミュージックなどで用いられるハーモニカ、スペインの民俗舞踏であるフラメンコで用いられる打楽器カスタネット、他に足踏みオルガンなど、普通の人が自ら進んで習得しようとすることは稀なものばかりである。
また中高のクラブ活動によくあるブラスバンドも、軍楽隊を直接の起源とし、十九世紀の末頃のアメリカなどで盛んだった編成で、今の日本で学校教育の場以外でそれほど盛んであるとは言い難い。
こうした楽器が採用されたのは主として財政的な理由や父兄の負担を考慮してのことと思われる。また管理の容易さも重要な要因らしい。
事情は分かるのであるが、せっかく学校で習得した楽器なのに卒業した後は疎遠になるという、教育の永続的な成果ということを反省した場合、負の側面があることも事実である。
現在、人々が趣味教養として好んで習得する楽器といえば、ピアノ、ヴァイオリン、ギター、フルートといったところであろうか。いずれも義務教育の場において準備することは様々な事情が許さないものばかりである。
しかし現実にお稽古ごとの月謝として経済的な負担をしている親は少なくないであろうから、それを予め学校教育の中に取り込んで、町の音楽教室で教えられている楽器を選択できるようにする私立学校は現れないものであろうか。
こうした問題は体育や英語教育にもあるように思われる。跳び箱や鉄棒なども悪くはないが、道具に費用が掛かってもよいからもっとポピュラーなスポーツに時間を掛けさせたいという需要もあるのではないか。
小学校での英語教育導入の是非については議論があり、私も個人的にはより優先されるべき教科があると考えているが、しかし私立の小学校の中で英語に親しませる時間を設けるところがあってもよいはずである。
学校教育はそれほどまでに規制に縛られているのであろうか。
それとも私が情報に疎いだけで、上で書いたような取り組みをしている学校は既に存在しているのであろうか。
2003/08/12


タケダバスーン・ジャパン


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