美術

2008/11/26
東京都美術館「フェルメール展」
ドイツ、オランダで少しずつ観るうち関心が出てきて、アムステルダムで「恋文」を観て特別に意識するようになった。
美術館で3,40分も行列するというのは初めての経験である。しかし入場を調整しているおかげで作品の前の混雑はさほどではなかった。
私にとってフェルメールの本領は室内での人物画にある。
構図の明快、明暗の対照性(光の使い方)、色彩のセンスの良さといった絵画的美質はもちろん魅力であるが、フェルメールが特別な画家であるのは、その画題の物語性である。
今回出展されていた中では、「マルタとマリアの家のキリスト」「ワイングラスを持つ娘」「手紙を書く婦人と召使」にそれがはっきり現れていた。
このように物語性を感じさせる画家というのは他にあまり知らない。
フェルメールは新しく登場した市民階層の内面を覗こうとしていたかのように思える。
「マルタとマリアの家のキリスト」のイエスは、近所か親戚の人相手に相談に乗っているかのような気さくな親しみ易さを感じさせる。
フェルメールには、市民社会に生きることの喜びが現れている。
今回は他に「ディアナとニンフたち」「小路」「リュートを調弦する女」「ヴァージナルの前に座る若い女」の計七点を見ることが出来た。「小路」はアムステルダムでも見ている。
今回で自分の中のフェルメール熱のようなものは落ち着いてきた気がする。
時代をはるかに先駆けていた画家であったことを感じると同時に、やはりあの時代の画家であるという思いも強く持ったからである。

2007/9/16
六本木・サントリー美術館「BIOMBO/屏風 日本の美」展
安土桃山時代に進んでいた日欧文化交流の深さに驚愕を覚えた。

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世田谷上野毛・五島美術館


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